ルシェのレゾネ2種が入荷していますのでそれぞれご紹介いたします。
エド(エドワード)・ルシェは1937年、ネブラスカ州生まれ。アートスクールに通うためにロサンゼルスへ出て以来、同地で活動を続けています。
初めはグラフィックデザイナーを志しますが、ジャスパー・ジョーンズやマルセル・デュシャンに影響を受け、日常的に目にするガソリンスタンド、ビルボード、ハリウッドサインといった典型的なアメリカの風景を主題に描き始めます。
言葉をグラフィカルに描き込むことにより、観る人それぞれの想像力を喚起するといった作品です。
広告的な表象でポップアートの要素を含みますが、ルシェ自身は否定しています。
抽象的、コンセプチュアルでもあり、シンプルながら複合的な視点を持つ作品は高く評価されています。
●エドワード・ルシェ カタログレゾネ 2冊組 Edward Ruscha: Editions 1959-1999: Catalogue Raisonne
1999年/ Walker Art Center 英語版 函 カバー 2冊組
レゾネらしくたくさんの作品が載せられています。
ルシェのアーティストブックのそれぞれ全ページが載せられています。
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こちらはルシェのペインティング・レゾネ。現在まで2004年から4冊出版(1958-1997年まで)されています。そのうちの1巻です。
●エドワード・ルシェ カタログレゾネ vol.1 Edward Ruscha: Catalogue Raisonne of The Paintings volume one 1958-1970
2003年/ Steidil/Gagosian Gallery 英語版 函
初期の代表作「Large Trademark with Eight Spotlights」(1962)
左ページは詳細なデータと本人のコメンタリー、右ページに作品図像が掲載されています。
作品の構想を記したノートも。
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レゾネではありませんが、当店在庫のルシェ2点。
エドワード・ルシェ展 Edward Ruscha
1989年/Centre Georges Pompidou 仏語版 カバー 背・見返しシール貼付
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エドワード・ルシェ Edward Ruscha: Paintings
1990年/Museum Boymans
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近年アメリカ国内はもとより、ヨーロッパにおいても、大規模なルシェの回顧展が開催されてきました。2005年にはヴェネツィア・ビエンナーレのアメリカ代表作家として選出され、2009年にはアメリカのNational Arts Award受賞、昨年はゲッティ美術館がルシェの写真作品を購入し話題となっています。日本では未だ美術館規模の個展がなく、ルシェ個人の日本語の画集・評論が1冊も出版されていません。(個人調べ。あったらすみません。)
2009年、雑誌『GQ』で、全米で”最もスタイリッシュな10人”に選ばれました。
その時、御年72歳。いまもかなりハンサムです。
下の写真は長く友人関係にあった故デニス・ホッパーが撮った若き日のルシェです。
こちらはホワイトハウスに飾られているルシェの作品です。
ワシントンのナショナル・ギャラリーの所蔵品からオバマ大統領が選び、借用していうちの一枚とのこと。そんな羨ましいシステムがあるんですねぇ。
大統領はこの絵の前で混迷するアメリカの政治経済について悩んでいらっしゃるのでしょうか。
「イエス…か…」「ノー…か…」「ちょっと待って!…!」「よく考えて、」「たぶん私は…」
自分なら余計に迷ってしまいそうです。