この展覧会は「都市のヴィジョン― Obayashi Foundation Research Program」という公益財団法人大林財団の助成プログラムの第一弾展覧会で、初代助成対象者に会田誠さんが選出されました。専門家が行う都市計画とは違う視点から、アーティストが都市のあり方を提案・提言するというテーマのものです。ゲストとして、Chim↑Pomさんと山口晃さんが参加されています。すでに会期が終了しておりますが、未見の方へお届けいたします。
会場はB1FとB2Fに分かれており、B1Fは比較的すっきりとした展示となっていました。
山口晃「都庁本案図」
会田さんが考えた都庁を山口さんが描いた作品。
ニセ口晃(会田) 「シン日本橋」
一部ですが「新宿御苑大改造計画」ジオラマ
後ろに巨大な黒板があり、あらゆる提案・考察が、絵と文字の両方で描かれています。。2001年の作品。
ほかには写真はありませんが、中央省庁が集まる霞ヶ関の上空に、「国際人であり、かつ立派な人物」しか入れない特区『NEO出島』(自分は入れてもらえないと思い寂しい気持ちに)のジオラマや、成田空港の日本土産マグカップについての思考実験など。このような提案をするにあたって、会田さんは全てリサーチ無しで挑んでいます。中途半端にわかった風なことをすると、作品のスケールダウンに繋がるし、アイデアの良い部分まで削ることになってしまいそうなので、その姿勢は正しいと思いました。
ここからB2F、急に薄暗く荒い感じになっています。
あらゆる思いつき・無茶無謀・悪ふざけ的な提案が立て看板に。
「セカンド・フロアリズム」
『身の丈にあった建築(街)を』『建築を自分たちの手で行う』『人間にとって建物は2階までが良いであろう(3階以上は傲慢とみなす)』という論旨のアジ広告?全体にブルーシートや布が張り巡らされ、映像が投射され、瓦礫がころがり雑然としています。新しくなにかが生まれそうなパワーを感じました。会田さんが建築に関して素人であるとしても、他人任せにせず、素朴に考えることの重要さを訴えかけてくる作品です。
スペシャルゲスト会田寅次郎(会田誠さんの息子さん)
なにやらゲームのURLが書いてあるのでやってみてください。わたしはどうしたらいいのかよくわかりませんでした。
https://github.com/aidatorajiro/MemgameJS
※後日、寅次郎さんは第21回文化庁メディア芸術祭アート部門の新人賞に輝いておりました。おめでとうございます!
会田さんが歌う「カサブランカ・ダンディ」の替え歌「アーティスティック・ダンディ」がループしています。
ボイスに扮して熱唱する会田誠氏。
会田『都市と芸術みたいなお題を与えられて真っ先に思い浮んだのはボイスでした。自分のなかで彼は「世のため人のため」派アーティストの代表。でも、本当にアーティストが「(社会の)役に立つ」とか言っちゃっていいのか、って疑問もあります。そんなジレンマをふまえた、俺のなかにあるボイス領域が、今回の展覧会です。』とのこと。
写真はありませんが「国際会議で演説する日本の総理大臣と名乗る男のビデオ」、会田さんが扮する首相はあくまで架空の人物とのことですが、A部さんに結構似ていて、本物なら絶対言わないぶっちゃけスピーチが大変面白く、気持ち良かったです。会田さんの「~と名乗る男のビデオ」シリーズ大好きです。ちゃんと似てるし。
最後にタイトルの「GROUND NO PLAN」ですが、建築用語で建造物の平面図や基本計画のことを「グラウンド・プラン」というそうです。そこに「ノー・プラン」という言葉をかけた造語とのこと。いいタイトルだと思います。