今回は文承根(ムン・スングン)という作家について御紹介します。
あまり耳馴染みのない作家かも知れません。彼は志半ばの34歳にして夭逝しました。
1947年に石川県に生まれた文承根は、大邱(韓国)出身の父を持つ在日の芸術家です。
60年代後半からほぼ独学で美術をはじめ、68年には「具体美術協会」のリーダー吉原治良に見出されて第21回具体美術展に出品します。当時まだ若干21歳です。
その後も1969年の第5回国際青年美術家展への出品や日韓両国で数多くの個展を開催するなど、絵画や彫刻、版画から立体、写真、コンセプチュアル・アートまで幅広い分野で活動をしました。が。
1982年、在日を代表する作家として世界にデビューする目前に胆嚢癌により亡くなりました。34歳。
具体や関西ニューウェーブ・もの派などの運動の狭間に身を置きつつも、そのどこにも属さず孤高の精神で独自の研究と実践を続けた文承根。そんな彼の作品を少し。
1979年/ アクリル キャンバス サイン 裏面木枠に中長小西シール
50号 91×117 額93.5×119.5
1981年/ 水彩 紙 サイン 56×74.5 額65×83.5
水彩 紙 サイン 57.5×75 額65×82.5
絵画からも日本と韓国両方の雰囲気を携えているように感じられます。
今年で没後34年になるので、ちょうど彼が生きた期間が経過しました。
生きていればどんな作品を作りだしたのか。非常に残念でなりません。
また、神保町ファインアーツで現在開催している展示「もの派周辺とモノクローム」展で文承根の作品を展示・販売しております。
個人的にも今回の展示の中で最も気に入っている作品のうちの一つです。
他にも菅木志雄・李禹煥など是非とも実際に鑑賞して頂きたい作品ばかりです。
期間も今月の28日まで、あと1週間程度になりますのでお早めにどうぞ。
もの派周辺とモノクローム
会期: 2015年6月1日(月)〜2015年6月28日(日)
展示作家: 因藤壽/上前智祐/榎倉康二/海老塚耕一/岡崎乾二郎/川俣正/菅木志雄/関根伸夫/原口典之/村上友晴/文承根/吉澤美香/李禹煥ほか(五十音順)
詳細は神保町ファインアーツHPにてご確認ください。