こんにちは!
まだ怪談話にふさわしい夏ではありませんが
今日はちょっとおもしろいバケモノ話をご紹介します。
先日入荷した「稲生モノノケ大全 陰之巻」のなかから、タヌキのお話しを。
杉浦茂の漫画「八百八狸」です。
「八百八狸」とは
日本三大狸話の一つ『松山騒動八百八狸物語』のこと。
江戸末期、講談師によって作られたお話です。
狸の総帥・隠神刑部狸またの名を八百八狸。
その八百八狸を久万山の洞窟に閉じ込めてしまったのが、稲生物怪録の主役・稲生平太郎なのです!
という繋がりから、「稲生モノノケ大全」にこのお話が掲載されていたのですね。
狸の神通力を封じ込めた方法は諸説あるのですが、稲生物怪録の最後に妖怪の頭領・山本五郎左衛門から授かった木槌を使ったという説も有ります。
享保の折り、松山藩では「刑部」という称号まで授かった “タヌキ”がお城を守っていました。
お家乗っ取りを計る城代家老の奥平久兵衛は、邪魔な狸を退治するため策を練ります。
まずは、山犬に育てられた後藤小源太に狸退治を頼んだのですが、やはり動物同士なのか、あっさり和睦してしまいます。
そのとき「小源太が狸に危害を加えない替わりに、小源太が窮地の時は狸が助ける」という約束を交わします。
家老・久兵衛はそれを悪用することを重いつき、小源太を中老に取りたてました。
小源太との盟約のために悪事の一端を担がされた狸は、理不尽な状況に陥り、濡れ衣を着せられ、名誉を奪われてしまいました。
そのとき松山に、モノノケにめっぽう強いと評判の稲生平太郎がたまたま滞在。
疑心案儀に陥った狸が策を弄したがために、平太郎の怒りを買い、退治されるはめになってしまいました。
あまりにも理不尽なこの有り様……現代の不条理にも通じるところがあるのではないでしょうか。
唯一の救いは、過去の長年の功績に免じて祠を建てられたこと。
なんと可哀想な隠神刑部狸!!
こんなひどい仕打ちを受けたのに、狸は恨んだりしないんですよ、なんていいやつでしょう。
同じ祠を建てるとしても、狐の場合だったら、祟りを恐れて、といったところでしょう。
今週末、「分福茶釜」のお寺のある館林に行くので、次回は「分福茶釜」のことを書けたらと思っております。
なんだか、 タヌキの虜になってしまいそうです。早く證城寺にも行かねばです。
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