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フェリックス・ヴァロットン 版画・グラフィックアートカタログ・レゾネ Felix Vallotton

今回はフェリックス・ヴァロットンのカタログ・レゾネが入荷したのでご紹介します。


去年、日本初の展覧会が開催されたことも記憶に新しいヴァロットンですが、日本での知名度は未だに高いとはいえません。しかし近年では世界的に注目が高くなっています。



ヴァロットンはスイス・ローザンヌ生まれの版画家です。パリで美術を学びながらアカデミックな基礎技術を身につけ、以降は版画制作に打ち込みます。彼の制作した多くの版画は新聞や本などの多くの媒体に掲載されヨーロッパのみならず、アメリカまでも普及します。白と黒を基調にしたスタイルでグラデーションなどの立体的技術をほとんど使わずに制作しました。濃密な黒の背景と白のフラットな画面はグラフィック・アーティストとしての一面を感じさせるヴァロットン独自のものでした。それまでのヨーロッパ版画にはない独創的な作品は驚きと革新をもって受け入れられ、現代木版画を発展させた立役者といわれます。

パリ、ナビ派の一員でも知られています。ナビ派とは19世紀パリで誕生した前衛芸術家集団です。アカデミー・ジュリアンに通う若い芸術家達で結成されました。ポール・ゴーギャンに影響されポール・セリュジエを中心に、ボナール、ドニなどがメンバーにいました。



ヴァロットンは版画の他に油彩画も多く描いています。それらの作品は乾燥した色彩と冷淡な画調をもった作品でしたが、評論家たちからは地味で、喜びが欠けた絵だと批評されました。しかし頑なな姿勢で描き続けたヴァロットンの絵画は現在高く評価されています。

そして今回、ご紹介するのはヴァロットンの版画とグラフィック・アートを主題にしたカタログ・レゾネです。ここには新聞や雑誌を彩った図が多く載っています。当時の人を驚かせ、楽しませたであろう図はコミカルかつ社会的なメッセージをもっています。版画はすべて白と黒で構成されていますが、華やな図柄と独自のフラットなスタイルで今見ても古さを感じさせず、楽しめるレゾネになっています。

フェリックス・ヴァロットン 版画・グラフィックワークカタログ・レゾネ Felix Vallotton: Catalogue Raisonee de l'Oeuvre Grave et Lithographie/Maxime Vallotton/Charles Goerg

フェリックス・ヴァロットン 版画・グラフィックワークカタログ・レゾネ Felix Vallotton: Catalogue Raisonee de l’Oeuvre Grave et Lithographie
Maxime Vallotton/Charles Goerg
1972年/ Les Éditions de Bonvent S.A. 英・仏語版 少傷み

図版にデッサン・ワークが付随してますので、制作過程も楽しめます。

次回はミュンヘン、モダン・ピナコテークで開催されているヨーゼフ・ボイス・マルチプル展の模様をご紹介します。ボイスのマルチプル作品が一挙に展示されていたので、興味がある方はぜひご覧になって下さい。

ボヘミアンズ・ギルドでは、様々なジャンルの本や美術作品を買取しています。
お売りいただける本、作品などございましたら是非ご連絡下さい。

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