「これは誰の袖なのか」。そんな風変わりな名で呼ばれる絵があります。衣桁や屏風にたくさんの衣裳を掛け並べた様子を描く「誰が袖図」です。「誰が袖図」 には、秘められた室内空間を覗き見て、そこに掛けられた美しい衣裳を愛で、薫きしめられた香りをイメージし、ひいてはそれを着る人の面影をしのぶ、そんな 多層的な趣向が備わっています。(展覧会チラシより)
新宿駅で展示されていたポスターにひかれて、行ってまいりました。
ブログを書いている途中に展覧会が終了してしまい、申し訳ありませんがご報告ということでお許しください。。。
チラシの図を見ていただけますでしょうか。
作品自体が屏風であるのに、入れ子のように実物大の部屋の様子が描かれており、
その中には人は描かれていません。
それにも関わらず持ち主の気配は濃厚に感じられます。
主役は持ち主不在のまま描かれた「衣類とそれが置かれた空間」のようです。
なんだかシュールなんです。
すごく不思議な味わいで、粋で先鋭的な現代美術に通ずる感覚だと思います。
これこそ外国の人に紹介したいジャパン・クールです。
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蛇足ですが、着物の模様の描かれ方には二通りあるとおもうのです。
ひとつは実際に見えるようにシワなどに合わせて絵柄を変形させているもの。
もうひとつは実際を無視して絵柄の紙を布のかたちに切り取って貼付けたようなもの。
今回展示されていたものはどちらとも言えず、自然に見えるギリギリのラインで模様がしっかり描かれていて好感が持てました。
この「誰が袖(たがそで)図」3点は根津美術館のコレクションのようですので
また見るチャンスはあると思います。
興味を持たれた方は覚えておいてください。
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根津美術館に初めて行ったのですが、この季節は庭園の紅葉が素晴らしいようです。
私が訪れた日はかなりの寒さと強風でしたので、大事をとって庭を鑑賞するのはあきらめました。冷え性でない方はどうぞ。
また根津・三井記念・五島美術館の入館券を集めると、次の展覧会が1回無料となる「秋の三館-美をめぐる」というキャンペーンが行われていたようです。
残念ですが、冬のキャンペーンをお待ちください。
コレクション展 誰が袖図 描かれたきもの
2014年11月13日(木)~12月23日(火・祝) ※終了しています
休館日 月曜日
開館時間 午前10時‐午後5時(入館は午後4時30分まで)
入場料 一般1000円、学生[高校生以上]800円
*中学生以下は無料
会場 根津美術館 展示室1