未来派関連の書籍が入荷したのでご紹介します。
未来派とはフトゥリズモまたはフューチャリズムと呼ばれ20世紀初頭イタリアを中心として起こった前衛芸術運動です。
1909年イタリアの詩人フィリッポ・トンマーゾ・マリネッティ (1876-1944)によって起草された「未来主義創立宣言」がその発端でした。1848年カール・マルクスとフリードリヒ・エンゲルスにより書かれた「共産主義者宣言」倣って名付けられ、題名には同じく「宣言」(Manifesto)が使われました。内容はジョルジュ・ソレルの「暴力論」に影響されており、あらゆる破壊的な行動を讚美する非常に過激なものでした。
伝統的な芸術と社会を否定し、機械美やスピード感、ダイナミズムなど新時代を礼讃したこの運動に多くのイタリアの若き芸術家たちが賛同しました。しかしその思想はより政治的なものになっていき「世の中を衛生的にする唯一の方法」として戦争をも肯定するに至りました。活動家たちはファシズムの政治運動に参加していくことになります。やがて芸術家達の内部離反を招き、イタリア国家からも「退廃芸術」とみなされ活動が制限された「未来派」は10年ほどの短い活動期間で崩壊していくことになります。
マリネッティ による「未来主義創立宣言」の後、ほどなくしてマリネッティの思想に賛同したボッチョーニ、カッラ、ルッソロ、バッラ、セヴェリーニの5人の芸術家によって「未来派画家宣言」が発表されます。
ウンベルト・ボッチョーニ作『空間における連続性の唯一の形態』 運動の連続性を彫刻で表現した作品。
カルロ・カッラ作『無政府主義者ガッリの葬列』 アナーキストの葬送の躍動感を描いた作品。
ただひとりの音楽家ルイージ・ルロッソはノイズ・ミュージックの原点ともいえる「騒音芸術」を制作しました。音源はこちらから。
ジャコモ・バッラ作『鎖に繋がれた犬のダイナミズム』 速度を採り入れた作品。
ジーノ・セヴェリーニ作『danseuse』
ジーノ・セヴェリーニはモザイクやフレスコなど様々な技法を作品にとりいれました。
破壊、速度、機械化文明を新しい美として迎え入れたこの思想は当時の世界情勢にふさわしく狂気を孕んだものでしたが、短命ながらもセンセーショナルな芸術運動で、その後ロシア構成主義芸術や、ダダイズムに大きく影響しました。
未来派の写真 Futurismo E Fotografia
Giovanni Lista
1979年/Multhipla 伊語版 少傷み
未来派 1909-1944
ボッチョーニ/バッラ/プランポリーニ/リッツォ/デペーロ他収録
1992年/東京新聞 カバー 天少シミ 地赤マジックライン
未来派 Futurismo & Futurismi
Pontus Hulten
1986年/Abbevill
他にもまだ未来派に関連した書籍ございますのでサイトか店頭でご確認下さい。
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