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鬼才デヴィッド・リンチ展 開催中です。書籍も入荷しました。David Lynch

現在、渋谷ヒカリエ内のTomio Koyama Galleryでデヴィッド・リンチ新作版画・写真展が開催中です。今回は夏目書房の書籍ともに芸術家としてのデヴィッド・リンチをご紹介します。

映画監督としては数々の映画賞を受賞し、また世界中にカルト的なファンをもつ鬼才監督として有名です。多くの人々が惹かれるのは作中の台詞、脚本、楽曲、全ての根底に流れる独自の芸術的な意識です。そして映画以外にも絵画、写真、立体作品など、様々な表現方法をもつ芸術家でもあります。

アメリカのモンタナ州ミズーリで生まれたデヴィッド・リンチはプロの画家でもあった友人の父親の影響で美術の道を目指します。そしてワシントン美術大学やボストン美術館付属美術学校で学び始めます。しかし、「ここには、なに一つ触発されるものがない」と留学、転校を繰り返します。その後オスカー・ココシュカに師事するためにオーストリアに渡ります。しかしあまりにも綺麗な街並みにリンチの制作意欲は萎えてしまい、すぐにアメリカに帰国することになります。帰国後、フィラデルフィアにレンガ造りの巨大な一軒家をわずか3000ドルで購入し生活を始めます。工場が点在する程度の侘しい環境と治安の悪さがリンチにインスピレーションを与え、そこから映画制作や芸術活動に没頭していくことになります。

デヴィッド・リンチが影響された芸術家にフランシス・ベーコンがいます。ベーコンの狂気のイメージがリンチの作品に通じていることは容易に理解できますが、本質は、リンチが愛したシュルレアリスムにあるのではないでしょうか。『現実を超えた現実』、『日常と並行して存在する違和感』、はリンチの映画でも感じることができ、徐々に変容していく世界に観客は頭を悩ませ、惹かれていくのです。そして、その美意識はリンチの絵画にも溢れています。淡く、暗い色彩の作品を多く描いていますが、見続けていると徐々に色が抜けていく感覚に襲われます。気付けばどこか違う世界に囲まれているような感覚すらも覚えます。それは日常の中に存在する恐怖であり、そして誘惑でもあるのです・・・。

ここでデヴィッド・リンチの書籍を2冊ご紹介します。

デヴィッド・リンチ Images
デヴィッド・リンチ Images
David Lynch
1994年/Hyperion 英語版 カバー

デヴィッド・リンチ David Lynch: Snowmen
デヴィッド・リンチ David Lynch: Snowmen
David Lynch
2008年/Steidl 英語版 カバー

1冊目は1994年に刊行されたアート・ワーク集です。本のタイトル通り、まさに不穏なイメージの断片集で、リンチの頭の中を垣間見る事ができる書籍です。(ボヘミアンズ・ギルドに在庫がございます)。2冊目は2007年、パリで開催した展覧会「The Air is On Fire」展の際、同時に刊行された写真集です。住宅の前に佇む雪だるまが写った写真、アメリカの平穏な一コマの裏にある不安定さを捉えています。(池袋夏目書房に在庫がございます。)

デヴィッド・リンチ新作版画・写真展は7/14までなのでご覧になりたいかたはお早めに。またデヴィッド・リンチが参加する企画展「イメージメーカー展」も開催中です。

現在、夏目書房/ボヘミアンズ・ギルドには映画関連の書籍が充実しております。ぜひ店舗の方へお越し下さい。また夏目書房では写真集は勿論、様々なジャンルの本を買取しています。お売りいただける本などございましたら、是非ご連絡下さい。

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