上野の東京都美術館で開催中の「バルテュス展」(~6/22)と、東京駅にある三菱一号館美術館 歴史資料室「バルテュス最後の写真―密室の対話」(~9/7)に行ってまいりました。
バルテュス(Balthus, 1908年2月29日‐2001年2月18日)、フランスの画家。
本名バルタザール・ミシェル・クロソウスキー・ド・ローラ。
ポーランド貴族の血を引くバルテュス。
父は画家・舞台美術家・美術史家、母は画家で元リルケの恋人、兄に小説家・画家でサドやニーチェの研究家としても知られるピエール・クロソフスキーがいます。
幼いころからボナールやマティス、ニジンスキー、ストラヴィンスキーといった芸術家が家を出入りするといった環境に育ちます。
彼は美術教育を受けておらず、ルーブル美術館で巨匠の模写などをして独学したそうです。
彼は絶対自分のことカッコイイってわかっていますよね。
バルテュスの絵には不思議なぎこちなさがあって、それがまた魅力につながっていると思います。
官能的なポージングをする女性に対し、あきらかに黒子として描かれた女性がカーテンを大きく開け放ち、主人公に恥ずかしめを与えて、なにか仕返しをしているような場面です。変な絵です。画家が意図しないことでしょうが、雑魚キャラとして描かれている女性に思いを馳せてしまいます。他の絵にも出演しています。
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バルテュスの絵で私の気になるところは、彼が愛してやまないはず猫の顔です。
そんなつもりないと思いますが、彼の描く猫はグロテスクで、一緒に描かれている人間より狡猾で人間臭い感じがします。《金魚》のカメラ目線の猫などは、南米のUMA・チュパカブラみたいです。
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この展覧会は点数はそう多くありませんが、名作がたくさん来ています。
会場で映像が流されていましたが、アトリエに撮影に入った映像クルーをどなりつけるバルテュスが見られます。自然光へのこだわりが激しく、立派な偏屈爺でした。貴族は怒らないと思い込んでいた自分に気づきました。
東京展が終わると京都へ巡回するそうです。
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一方、三菱一号館美術館は私以外は誰もいませんでした。
また展示会場と展示内容がものすごく淫靡でした。絵とは違う濃密な空気が漂い、見てはいけないものを見てしまったような気にさせられます。
出版社のSteidlが、バルテュスのポラロイドを全て収録した二巻の写真集を出版するようです。480ユーロ。日本円でいくらなんでしょう。
2つの展覧会が同日に見られるのも22日までです。
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夏目書房では展覧会図録は勿論、様々なジャンルの本を買取しています。
お売りいただける本などございましたら、是非ご連絡下さい。