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前衛華道家 中川幸夫の書籍入荷しました。

中川幸夫関連の書籍が入荷しましたので、ご紹介します。

中川幸夫は香川県出身の華道家です。その作風は前衛的かつ攻撃的で、華道会にあって今なお、異端視される存在です。彼の芸術家としての始まりは家元と袂を分かった瞬間ではないでしょうか。

ブルース
1951年「ブルース」と題された作品で中川は白菜を活けるという表現を行います。それは格式ある華道界が理解できるものではなく、中川は家元の池坊を脱退します。それから中川は流派を基本にする華道会のヒエラルギーを否定するかの如く、孤独で自由な姿勢をとりつづけました。そんな彼の作品は、一見グロテスクな印象を受けますが、とても肉感的で美しいのです。それは生命の輝く様、朽ちる様を表していて、花を活けるということを純粋に体現しています。

花坊主
代表作「花坊主」まるで真っ赤な血液が作品から流れ出ているような作品です。ガラスに詰めた900本のカーネーションから、時間の経過とともに分離した色素と水分が白い和紙を染めています。花は死ぬ直前、悲鳴を上げる瞬間すらも美しいと中川は言います。

天空散華
2002年「天空散華」乱舞する舞踏家大野一雄に100万枚のチューリップの花びらが降り注ぎます。瞬間の芸術です。

闡(ひらく)
「闡(ひらく)」4500本のチューリップを腐らせた作品。花の肉の塊は圧倒的で妖艶な匂いを発しています。

ここで現在、ボヘミアンズ・ギルドにある中川幸夫の作品集、展覧会図録をご紹介します。

中川幸夫の花
中川幸夫の花
中川幸夫
1989年/求竜堂 函

有隣荘・中川幸夫・大原美術館
有隣荘・中川幸夫・大原美術館
2003年/大原美術館

中川幸夫 魂の花展 青竹ひらく霧島
中川幸夫 魂の花展 青竹ひらく霧島
中川幸夫
2003年/鹿児島県霧島アートの森 少開き

中川幸夫はコム・デ・ギャルソン店舗で個展を数回行ったこともあり、服のデザインにもインスピレーションを与えました。フラワーアーティスト東信にも強烈な印象を与えており、彼の作品にも少なからず中川のエッセンスが入っているはずです。また土門拳に写真を習った経験があり、自ら撮影した作品は写真作品としても評価が高いです。残念ながら、中川幸夫は2012年に多くの作品を残してこの世を去りました。命を表現することに生きた華道家は最後にどんな花の光景を見たのでしょうか。

しばらくの間、中川幸夫関連の書籍を店舗内の階段の棚に特集していますので、見たい方はぜひボヘミアンズ・ギルドへお越し下さい。サイトでご確認されたい方はこちらからどうぞ。

また夏目書房では様々な書籍を買取しています。
お売りいただける本などございましたら、是非ご連絡下さい。

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