こんにちは!
タイポ・グラフィ関係の書籍がいくつか入荷しました♪
今回は、雑誌「タイポグラフィックス・ティー」(日本タイポグラフィ協会発行)に特集されていた“コンクリート・ポエトリー”をご紹介したいと思います。
⁂コンクリート・ポエトリーとは⁂
文字やテクストが持つ物質性・具体性に注目し、空間的・視覚的に展開された詩のこと。
具体詩、視覚詩(ヴィジュアル・ポエトリー)とも。
1950年にドイツとブラジルで同時期に提起され、従来の意味論的な言語機能からの解放と
イメージとしての言語の自律的かつ構造的な特性が探求された。
マックス・ビルの「Konkrete Kunst(具体芸術)」の理念に共鳴した
スイスの詩人オイゲン・ゴムリンガーが打ち出した「Konkrete Dichtung」に由来する。
日本では雑誌「VOU」を発刊した北園克衛や、ピエール・ガルニエと共同作を発表した新國誠一が国際的に知られている。
水滴が落ちてくる様子を象徴化した雨という漢字を素材として、再び雨の降る様子を再構成している〈雨〉。
コンクリート・ポエトリーの西欧的原理には、ミメーシス(模倣)の否定という問題カテゴリーがあるため本来この作品は否定されなければならないものです。
しかし、この作品はアルファベットを使う国で高い評価を得ています。
それはなぜなのか、考えてみると
アルファベットの成り立ちも、Aが雄牛の頭を表したものだったり、Cがらくだのこぶを表したものだったりと何かのかたちを模して簡略化したものではありますが、漢字の様に一文字で意味を表すものではないので字を見ただけで起源を当てることは難しいです。
なので、この〈雨〉を見て 「水滴が落ちてくる様子を象徴化した漢字を素材として、再び雨の降る様子を再構成している」ではなく「文字で雨の降る様子を再現している」と感じるのではないかと感じました。
「さみだれ」を羅列し、強調点を打つことによって5つの言葉を作り上げていった面白い発想の作品。
さみ=samisen(三味線) みだ=amitabha(阿弥陀) だれ=who みだれ=mental confusion さみだれ=early summer rain
また、強調点そのものも面白いことに「雨垂れ」と呼ぶようです。
この作品もそうですが、コンクリート・ポエトリーには〈雨〉を題材にしたものが多いように思います。
ピエール・ガルニエと新國誠一の共同詩。
ガルニエが〈mer=海〉 を打ち込んだタイプライター・テクストに、
新國が〈ひかり〉の条と〈光〉の点、そして〈女〉をひとつ写植で織り込んでいます。
〈女〉を一文字配するだけで、ぐっと情景がひろがりますね。
日本語のコンクリート・ポエトリーは漢字の表意性を生かしたものが多いですが〈ぽとととぼ〉は、擬音語・擬態語に着目した作品です。
外国人が日本語覚えるときに苦労するというほど、日本にはさまざまな擬音があり、日本語の特徴とも言えるのではないでしょうか。
その擬音をいかしたこの作品は、視覚的にも聴覚的(思わず声にだしてみたくなるため)にも楽しく、特に印象に残る作品でした。
みればみるほど面白いコンクリート・ポエトリー。
今回は新國誠一が主になってしまいましたが、また他の作家も紹介できたらと思います。
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