「4代目 古本屋修行日記」でもお知らせした通り、
先週の木曜日にホンマタカシさんをお呼びしての「カタリココ」が
盛況のうちに終了しました。満員のお客様で大満足でした。
当日は午前中より国分寺への仕入れや神田古書会館で開催された
古書即売展「ぐろりや会」の本のならべやら、翌日の現在会長をしている
業者古書交換会「明治古典会」の有名文学評論家一口の仕分けなどで
朝からテンテコマイでしたが、なんとか全て無事にきりぬけました。
ホンマさんの話は、大学在学中に「ライト・パブリシティー」に就職した話や
デジタル・カメラを使わず、いまだフィルムと印画紙を使用していること、
そして自分が生きているうちは多分このままやっていくことなど、
同世代の人間としてはなんとなくうれしかったです。
考えてみれば随分と文明に侵されている自分がそこにいるのだけれども、
楽なほうへいってしまった自分はなかなか戻せないです。
少し写真集の動向について書きます。
1年程前まで古書市場は異常なほどの写真集ブームでした。
アメリカやヨーロッパが日本のデザインや写真を再評価したためですが、
その価格たるや、10年前にはほとんど値が付かなかった写真集が数万円、
いや数十万円になるというような状態でした。
しかし、どこでもおなじなのですが、あの「リーマン・ショック」がやってきました。
大体のものは暴落しました。業者の間では「狂気の写真ブーム」は終わったと囁かれました。
しかし確かにその価格は下がりましたが、10年前の評価価格に比べれば、
まだ数倍、数十倍のような気がします。そしてその評価も安定に入った気がします。
「狂気の写真ブーム」が「正当な写真ブーム」になって常識的になったのかもしれません。
最近、かなり面白くて珍しい写真集を売りに来ていただく機会が増えてきました。
そんな時、お客様にこんな説明をすると、皆さん理解していただけます。
先週も植田正治の私家版写真集「軌道回帰」や深瀬昌久写真集「鴉」
ルネ・マグリッドのオリジナル・プリントが14枚入った写真集など
なかなか見れない写真集をお客様から譲っていただきました。
こんな時には古本屋の楽しさを実感します。
4代目にも「現物をよく見ておけ!」と言っておきました。
もしお手元にそんなものがあれば是非ご連絡ください。
http://www.natsume-books.com/kaitori.php