どうも。
本日はHP上に新しく特集「木村伊兵衛と木村伊兵衛賞受賞者」をつくりましたのでご紹介します。
木村伊兵衛は戦前・戦後を通じて活躍した日本を代表する著名な写真家の一人として知られています。
報道・宣伝写真やストリートスナップ、ポートレート、舞台写真などさまざまなジャンルにおいて数多くの傑作を残していて、特に同時代を生きた写真家、土門拳とはリアリズム写真において双璧をなします。
土門拳とはたびたび比べられることも多く、女優の高峰秀子は著書では「いつも洒落ていて、お茶を飲み話しながらいつの間にか撮り終えている木村伊兵衛と、人を被写体としてしか扱わず、ある撮影の時に京橋から新橋まで3往復もさせ、とことん突き詰めて撮るのだが、それでも何故か憎めない土門拳」と評しています。
土門拳が深い被写界深度で女性のシワやシミなどもはっきりと写し出すため嫌われることが多かったのに対し、木村伊兵衛は浅い被写界深度でソフトに撮り、女性ポートレートの名手とうたわれていました。
ことさらにテーマを強調するのではない、演出のない自然な写真を撮ることで知られ、こよなく愛したライカを使ったスナップショットにおいては、生まれ育った東京の下町や銀座周辺とそこに生きる人々の日常を、自然な形で切り取っています。こうした作風により、木村伊兵衛はフランスの世界的なスナップ写真の名手・アンリ・カルティエ=ブレッソンになぞらえられ、和製ブレッソンと言われていました。
そんな木村伊兵衛 の戦前・戦後を通じての日本の写真界の発展に対する貢献と業績を記念して、木村伊兵衛賞は1975年に朝日新聞社によって創設されました。この賞はプロ・アマ・年齢を問わず、毎年1月から12月までに雑誌・写真集・写真展などに発表された作品を対象とし、写真の創作・発表活動において優れた成果をあげた新人に贈られます。受賞発表・選考内容等は毎年3月発行のアサヒカメラ誌に掲載されます。
新人を対象とし、著名な写真家を数多く輩出している事から、「写真界の芥川賞」と呼ばれることもあります。第一回の北井一夫から始まり、藤原新也、石内都、倉田精二、畠山直哉、都築響一、ホンマタカシ、蜷川実花、長島有里枝など時代を担う写真家が選ばれ、日本の写真界を引っ張っています。
このように、写真界を語る上で外せない木村伊兵衛と木村伊兵衛賞の受賞者を当HPで特集としてまとめました。
木村伊兵衛をはじめ、たくさんの人気写真家を集めましたので是非ご覧になってください。
HP特集 木村伊兵衛と木村伊兵衛賞受賞者
※
また、受賞者の一覧を参考までに載せておきます。
・第1回(1975年度) 北井一夫「村へ」(アサヒカメラ連載)
・第2回(1976年度) 平良孝七「パイヌカジ」(写真集)
・第3回(1977年度) 藤原新也「逍遙游記」(アサヒグラフ連載)ほか
・第4回(1978年度) 石内都「APARTMENT」(写真集)「アパート」(写真展)
・第5回(1979年度) 岩合光昭「海からの手紙」(アサヒグラフ連載) 倉田精二「ストリート・フォトランダム・東京75~79」(写真展)
・第6回(1980年度) 江成常夫「花嫁のアメリカ」(アサヒカメラ連載・写真集・写真展)
・第7回(1981年度) 渡辺兼人「既視の街」(写真展)
・第8回(1982年度) 北島敬三「ニューヨーク」(写真集)
・第9回(1983年度) 該当者なし
・第10回(1984年度) 田原桂一「TAHARA KEIICHI 1973~1983」(写真集)
・第11回(1985年度) 三好和義「RAKUEN」(写真集)「惑星」(アサヒカメラ掲載)
・第12回(1986年度) 和田久士「アメリカン・ハウス─その風土と伝統」(写真集)
・第13回(1987年度) 中村征夫「全・東京湾」「海中顔面博覧会」(写真集)
・第14回(1988年度) 宮本隆司「建築の黙示録」「九龍城砦」(写真集・写真展)
・第15回(1989年度) 武田花「眠そうな町」(写真展)「続・眠そうな町」(アサヒカメラ連載) 星野道夫「Alaska風のような物語」(週刊朝日連載)「Alaska北緯63度」(写真展)
・第16回(1990年度) 今道子「EAT Recent Works」(写真展)
・第17回(1991年度) 柴田敏雄「日本典型」(写真展・アサヒカメラ掲載)
・第18回(1992年度) 大西みつぐ「遠い夏」(アサヒカメラ掲載) 小林のりお「FIRST LIGHT」(写真集)
・第19回(1993年度) 豊原康久「Street」(写真集)
・第20回(1994年度) 今森光彦「世界昆虫記」(写真集)「里山物語」(SINRA連載)
・第21回(1995年度) 瀬戸正人「Silent Mode」「Living Room、Tokyo 1989-1994」(写真展)
・第22回(1996年度) 畠山直哉「LIME WORKS」(写真集)「都市のマケット」(写真展)
・第23回(1997年度) 都築響一「ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行」(写真集)
・第24回(1998年度) ホンマタカシ「TOKYO SUBURBIA 東京郊外」(写真集)「東京郊外」(写真展)
・第25回(1999年度) 鈴木理策「PILES OF TIME」(写真集)
・第26回(2000年度) 長島有里枝「PASTIME PARADISE」(写真集) 蜷川実花「Pink Rose Suite」「Sugar and Spice」(写真集) HIROMIX「HIROMIX WORKS」(写真集)
・第27回(2001年度) 川内倫子「うたたね」「花火」(写真集) 松江泰治「Hysteric 松江泰治」(写真集)
・第28回(2002年度) オノデラユキ「cameraChimera カメラキメラ」(写真集) 佐内正史「MAP」(写真集)
・第29回(2003年度) 澤田知子「Costume」(写真展)ほか
・第30回(2004年度) 中野正貴「東京窓景」(写真集)
・第31回(2005年度) 鷹野隆大「IN MY ROOM」(写真集)
・第32回(2006年度) 本城直季「Small Planet」(写真集) 梅佳代「うめめ」(写真集)
・第33回(2007年度) 岡田敦「I am」(写真集) 志賀理江子「Lilly」「CANARY」(写真集)
・第34回(2008年度) 浅田政志「浅田家」(写真集)
・第35回(2009年度) 高木こずえ「MID」「GROUND」(写真集)
・第36回(2010年度) 下薗詠子「きずな」(写真集・写真展)
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